かつおぶしは日本料理の根幹の成すものである。 そう言うと面倒だが、早いはなしうまいのだ。 それでコストがべらぼーならば世界の外だが、 実はそうでもない。 ということで、かつおぶしについて調べてみたことを書いてみる。
知らなくてもいいのだが、分類と関係するので、 ここにかつおぶしの作り方を書いておく。
まず、かつおをとってくる。次にこいつを三枚におろす。 小さいものはそのまま、大きいものは背と腹に分ける。 分けてないもは亀節になり、背側は背節、腹側は腹節になる。 この身を煮て、なまり節にしてから骨と皮をとる。 薩摩型という古来の方法では生のまま骨と皮をとる。 こっちの方がむつかしく、鮮度がよくないとできないのでたいがい品質がいい。 今度はいぶしながら乾燥させる。これでできるのが荒節。 次は表面のタールを削りおとす。これが裸節。 次にカビをつけてさらに乾燥させる。カビに中の水分を吸わせるわけだ。 この時にカビが油を変換してくれるため、油が減ってやわらかい香りが出る。 これをやったのを枯節という。 カビつけを4から5回くり返すと乾燥しすぎてカビも生えなくなる。 ここまでやると本枯節となる。完成品だ。
100g450円から700円程度で高く見えるが、使い方と性能を考えれば 安いとすら言える。背節は腹節より高いので、 貧乏人としては腹節を仕入れたい。けずって食うような贅沢なことはできないので、 ダシ専用だ。そうすると枯節の腹節がいい。 伏高 で通信販売をしていて、100g450円からある。 築地のダシグッズ専門店だ。ダシのとり方やくわしい情報がのっているので、 読んでみるとおもしろい。 なお、ここの掲示板にはダシ関係のコアな話題が常に登っているので、 ちらちら見ておくととても勉強になる。 書きこむのもプロの料理人が多いようだ。
だいたい、1Lのダシ汁を作るのに40gのかつおぶしが必要だ。 100g450円のものなら1Lのダシ汁で180円にしかならない。 もしすでに削ったものだと弱いので50gは必要になる。 しかも、これは開封直後での話だ。 けずってしまったものはもはや生もので、 4時間程度でほぼ完全に酸化されて香りを失ってしまう。 そうなったらいくらいれてもダシは弱い。 つまり完全に密封する手段がない限りは 一袋を一回で使い切らねばならないのである。 そうなると到底かつおぶしなど使えはしない。 大人しくけずるのをおすすめする。 削り器は3500円程度で手に入る。どうひどい使い方をしても十年は使えるのだし 高くはなかろう。 ダシ汁にしてしまっても保存が効くので、 一度に数リットルのダシ汁を作ってしまえば、毎回削らずに済むのだ。 それこそ月に一回程度でもいい。煮物やおひたしなんかだと再利用もできる。
ちなみに、けずる前の枯節は湿気を避ければ2年は持つ。 保存食としてもメチャクチャな性能だ。
水1Lに40gのかつおぶしを使う。 まず削るわけだ。この時はかりがないとしんどい。 はかりは980円とかで買えるので、適当に買っておいた方がいい。 ちなみに精密な電子式のものも2500円で買える。 さて、湯をわかして沸騰したら火を弱めてかつおぶしを放りこむ。 5分したら火をとめて、ひとつまみの塩をいれて、 かつおぶしが沈殿したら漉してとる。 みそしるにする場合は塩はいれない。 この場合は沈殿するのを待っているとやっかいなので、 ある程度沈殿したら漉してとる。 これでかつおぶしダシ汁が完成で、 たいがいの煮物や和風スープに使える。 かつおぶしのダシ汁を保存しておけば みそ汁が簡単に作れる。具とみそを入れるだけだ。 また、このダシ汁に1Lあたり10gの昆布を一時間つけておけば、 煮物用のダシとして完璧である。醤油と酒を加えて調味してから保存すれば、 たいがい何にでもつかえる。 おひたしの汁にもいい。 その場合は野菜を食ってしまった残りの汁は網で漉して再利用できる。 さらに、これに椎茸のダシを加え、 醤油と酒で調味すればそうめんのつゆができてしまうのだ。 酒と醤油の具合さえ間違わなければ、市販のものなど敵ではない。 多少間違ってもダシが強烈な分勝ちである。
ちなみに、元が魚だけに栄養も相当ある。 ただの調味料ではないということだ。 そのへんをナメてかかるとコストが高く見える。
かつおぶしの味に飽きる奴などそうはいない。 たまにはいいものを食うというのもありだが、 いつもいいものを食うというのはもっとありではなかろうか。 そういう時はたまにもっといいものを食えばいい。