ビタミン

2013/12/12現在、生野菜が最高かどうかについては疑念を持っています。 細胞壁が壊れていない状態でどれだけの吸収効率が出るのでしょうか。 人類の消化管は肉食動物のそれであり、植物からの栄養吸収効率は 高くないように思えます。また、穀物や芋は炭水化物の問題があるため、 今はほとんど食べていません。

ビタミンといえば野菜というくらい野菜はビタミンのために食わねばならない ものだという認識は広まっている。 しかし、それがわかっていながら野菜は面倒なので食べない人が多い。 そういうことでたいがいの人がビタミンを不足させている。 たくさん野菜を食べて足りているつもりでも、調理によってその大部分が 失われていたり、そもそも栄養がロクにない野菜を買っていたりする。 では一体どうすればビタミンを不足させずに済むのか。 ここではそんなことについておおまかに書いてみよう。

ビタミンとは何か

ビタミンとは糖、タンパク、脂肪以外に必要な物質で、 かつ自分で合成できない有機物のことだ。 本来なら自分で合成するのが筋なのに、進化の途中でたまたま その機構が壊れてしまったのためにこんなものを必要とするハメになったわけだが、 壊れても支障がないくらい昔はあたりまえに足りていたのも事実であり、 今の状況がかなりおかしいということの証拠でもある。 ヒトほど必要とするビタミンの種類が多い生物もそういないというくらい、 ヒトは激しい壊れっぷりを誇る生物なのだ。

さて、ビタミンにはかなりの種類がある。 それもわかってるだけのもので、全部でいくつあるかは見当もつかない。 しかし、いまだにわかってないものはおそらく本当に微量しか必要でないか、 何を食っても入っているかのどちらかだろうから問題ではないだろう。 というわけで、以下に種類と多く入っている食べ物の例を表にしてみる。

名前機能食べ物備考
ビタミンA目とかいろいろ動物全般油にとける。とりすぎると毒
ビタミンA前駆体ビタミンAになる他、活性酸素防御に関係する ニンジン、カボチャ、濃い緑の野菜 油にとける。黄色。薬剤でのビタミンA補給は前駆体で行うべき。
ビタミンDホルモン 動物。特に魚。しかし十分に日光を浴びれば皮膚で合成される 油にとける
ビタミンE活性酸素防御植物油油にとける
ビタミンK血液凝固その他葉っぱ、納豆まず不足しない
ビタミンC活性酸素防御、補酵素果物、野菜 大量に必要。水に溶ける。欠乏の最初の徴候は疲労
チアミン糖、脂肪の分解精製前の穀物、肉 別名ビタミンB1。疲労と頭痛はこの欠乏の徴候。白米や白い小麦粉にはゼロ。
リボフラビン代謝全般緑の野菜、肉光に弱い。別名ビタミンB2。
ビタミンB6代謝全般精製前の穀物、豆、ナッツ 加工全般に弱い。口内炎、鬱はこの慢性的な不足のシグナル。
ナイアシン代謝全般精製前の穀物、豆、肉 皮膚荒れ、疲労、鬱などはこの欠乏のシグナル
ビタミンB12造血他動物全て、菌貧血はこの慢性欠乏のシグナル
葉酸代謝全般まだ不明 欠乏によってガン、神経異常、貧血などの症状が重くなる。
ビオチン代謝全般肝臓、卵黄 欠乏すると脱毛、精神異常等を引きおこす。 生卵を大量に常食していると吸収できず欠乏症になる。
パントテン酸代謝全般肝臓、卵黄。特に魚卵まず不足しない

以上のように、かなりの種類がある。 これを全て把握して計算するなんていうのは面倒なだけだろう。 必要なのは、 何をどのように食べていれば全てが欠乏することなく、 できれば十分量を確保できるのかを知ることである。

どうするか

肉や卵をまるで食わないという生活習慣にある人はまずいない。 しかし、その代わりに野菜や精製前の穀物を口に入れる機会が 減っている。特に豆は致命的なまでに少ない。 この結果何が不足するかと言うと、ビタミンA、ビタミンB群のマイナーなもの全般、 そしてビタミンCだ。

ビタミンB群の中にあって特に不足しがちなのはチアミン(ビタミンB1)であろう。 これらの代謝に必要なビタミンは一般にたくさん食えば食うほどたくさん 必要なわけで、カロリー率の高い肉や精製穀物を食べていたのでは とても追いつかない。白米や精製小麦粉を主食とする場合にはどうしても 野菜から補充することが必要になるが、そのために必要な野菜の量は かなりのものになるし、種類も多種にのぼる。 はっきり言って現代人の多くはまるでこれらが足りていない。 疲れがちな人、鬱になりがちな人、貧血気味な人、毛が抜ける人。 こういうどこが悪いというわけでもないが全体的に健康レベルが下がっている 人はこれらの栄養が足りていないことを疑うべきである。 とにかく、とるカロリーを減らし、野菜を多くとる以外に手はない。 そこで私としては白米をやめて玄米を食べることを勧めたい。 せめて三分づきにするべきだ。 玄米を主食にしているだけで 上の表に「精製前の穀物」とあるビタミンは十分量とることができ、 加えて繊維も豊富にとれ、アミノ酸も多くとれる。こんなに楽して 栄養をとれる食べ物は他にないのだ。 手間の関係から野菜は無理だと言う人には 特に試してもらいたい。

また、ビタミンCの不足も深刻である。 これは代謝系に必要な量はさほどでもないので不足して壊血病になることは まずないが、活性酸素から防御して老化を防ぐという意味では 0.2グラムから0.5グラムもの量が必要だと言われている。 1グラム以上は有害なのでとりすぎは問題だが、薬に頼らない限り それだけの量をとることはまずできないだろう。 ビタミンCが豊富に含まれる野菜としてじゃがいもがあるが、 あれは皮を剥いてゆでればその80%以上は失われる。皮の直下に集中しているからだ。 よって外で食べるポテトサラダにはほとんどビタミンCは含まれていない。 じゃがいもはビタミンC、と安易に思いこんでいると痛い目に会うわけだ。 柑橘類のジュースを用いるのも有効である。

また、ビタミンAも肉だけではなにかと不足しがちである。 ビタミンA前駆体(いわゆるカロチン。しかしその全てがビタミンAになるわけではない) が多く含まれるのはにんじん、かぼちゃ、ほうれんそう などだが、いずれも一人者は食べる機会が少ないであろう。そこで、 乳製品によってビタミンAを直接にとるようにしたい。 牛乳は他の栄養素も多く含むので、飲みすぎさえしなければ非常に有効である。

また、レバーはどんな動物のものでもかなり強力なビタミン源になる。 臭くて苦手という人は魚(タラ、アンコウ、カワハギ等)のレバーに挑戦してみると 良いだろう。ほぼ全種類のビタミンがかなりの量で含まれている。

ビタミンの損失を防ぐ

ビタミンは多種多様なので、ものによって何に弱いかは違う。 しかし、程度の差こそあれ光、熱、水、酸素は敵だ。 光によって分解、変化が起こることは多いし、 熱によっても同様である。 水を多く用いれば水溶性のものは流れてしまうし、 酸素によって破壊されるものも多い。 これらを退けるということは、すなわち新鮮なものを加工を最小限にして 食べるべきだということだ。洗うのも最小限、煮るのや焼くのも最小限、 使う水の量も最小限。そして保存は冷蔵庫で、できれば密封して保存し、 さらにできるだけ早く食べればいいのである。

たとえば、キャベツは3分ゆでることでそのビタミンCの7割が失われる。 汁を全て飲むシチューのような料理ならいいが、そうとも限るまい。 栄養素含有表を参考にして完璧に栄養を考えたつもりでも、 調理によってその大部分がなくなってしまってパーということは いくらでも起こるのだ。また、スーパーの店頭に長いことさらされていた野菜は 栄養が著しく壊れているし、そもそも最近は作った段階ですでに野菜 の栄養が少ないものが多い。 基本的には色が濃く、固くてゴワゴワしたものを 求めればそれほど間違いはないだろう。 キャベツなどは外側の葉をこそ食べるべきだし、大根やかぶも葉は食べたい。

まとめ

ビタミンを完全に取るのに一番いいのは精製していない穀物を主食とし、 野菜を多種類多量にとることである。加えてまれに動物や乳製品を食べることで 完全にビタミンをとることができるだろう。 レバーを定期的にとるのも非常に良い。 もし野菜を多くとるのが無理だと言うならば、 せめて精製していない穀物を主食とし、果物のジュースや乳製品で不足分を補いたい。 もし精製していない穀物がイヤで、かつ野菜を食べる機会がないのであれば 野菜ジュースや栄養剤での補給もやむを得ないことになる。

これらのものが欠乏しているシグナルとしては、口内炎、疲労、鬱などがあるが、 特に口内炎はわかりやすい。しかし、言うならばこれはもう手遅れのシグナルである。 口内炎ができるころには体中の代謝系が甚大なダメージを受けており、 発病しないまでも到底健康とは言えない。 シグナルが感じられなくても、自分が食べているものを考えれば 不足しているかどうかはあきらかにわかることと思う。 特にビタミンは食い溜めがきかないので、たまに野菜を食べたからといって 改善されるわけではない。どうにかして毎日足りるように食べる必要がある。 面倒ならばビタミン剤を用いるのもやむを得ないだろう。


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