売れたゲームだと聞いてやってみました。まあ、悪い出来ではないようです。 この文書のVer.1ではまだ真奈美ルートしかやっていないで書いていましたので、 評価がかなり不十分でした。 今回菜織ルートを終えたので、書きなおすことにします(CG達成率93%)。
本筋(真奈美)における最大の不満がストーリーです。 主人公の陸上をやる理由や、 ヒロインとの心のすれ違いなどのラブストーリー要素はまあ 問題というほどではないのですが、 クライマックス付近で突然のようにあらわれる ファンタジー風の要素が非常に安物っぽい雰囲気を出して しまっています。確かにそれらしい話は序盤からありましたが、 いきなり精霊がどうのこうのいわれるとちょっとさめます。 「絆」についてうんぬんするのであれば、別にそんな変な話にしなくても まともな恋敵を出してからませればすむでしょうし、 どうしてもそういう非現実な話を入れていきたいのなら それなりの段階を踏んだフォローが必要でしょう。 おそらくただのラブストーリーになってしまうのを避けた結果なのでしょうが、 裏目に出ているように感じられます。
一方、わき道とも言える菜織ルートはそこそこの出来で、 興覚めな場面もありません。三角関係ものとしては標準的な出来でしょう。 もうひとつひねりが欲しかったとも思いますが、 シナリオ以外の部分の完成度を考えれば 総合的にはまともな出来なのではないかと思います。 ただ、最後のとってつけたようなＨシーンが少々 問題な程度です。しかしながら私は例によってこういうことをおもしろがる 人間ではありませんでした。
また、どう考えても18禁にするまでもない内容です。 ヒロインキャラが2人しかいないのもエロゲ向きではないでしょう。
不満はありませんが、特にほめることもありません。 あっさりした部類に入るでしょう。 おもしろみに欠ける上にクライマックスがいまひとつなこともあって、 印象が薄いのが残念です。
凝っています。話の山場で一度中断させ(連載漫画の「引き」に近い)、 ちょっとしたアイキャッチの後に次回予告をするというなんとも 趣向をこらしたものになっています。独創性があるわけではありませんので 驚きはしませんが、読者をダレさせないためのいい手段になっています。 また、定番のカレンダー画面では過ぎた日のところにその日何があったかが 書きこまれていき、過去のイベントを反芻しながら進めていけます。 画面のかきかえも、ありきたりな背景＋立ち絵のみでなく、 部分的にアニメーションしたり、 何枚かを重ねてそれらを独立に描画したりして変化をつけています。 残念ながら読者の心を引っぱり込むような効果にはつながっていないようですが、 こういった工夫はつくる姿勢が感じられてとても好感がもてます。 他のいいかげんなメーカーにも見習ってほしいものです。
普通です。あざといのが若干名いますが、この程度だとどうでもいいので 気になりません。 ちゃんと定跡はおさえていますから問題はないのですが、 単なる定跡通りという気もします。しかし「メガネ」「おしとやか」「うるさい」 「猫系」「巫女系」「妹系」「ボーイッシュ」「ウェイトレス」「おさななじみ」 「お姉様」とここまで定番をおさえられるとある意味圧巻ですね。
普通の選択肢付き小説です。 ここに限っていえば何の工夫もありませんが、まあそれは問題にはならないでしょう。 速度も快適でサクサク進みます。133MHzくらいでも十分遊べるでしょう。 若干カレンダー画面が長いのが気になるくらいでしょうか。 ただ、文章を飛ばすのが遅く、その手順も一度メニューを出してからなために 2回目以降がかったるくなります。シナリオ回想もなく、飛ばしすぎてしまった時に 読み返せないのも困りものです。やはり、 読んでない文章は飛ばさないような手段が欲しかったところでしょう。 まあ、3回以上やる必要がないゲームなのでその辺は致命的ではないでしょうが。
高レベルに売れ筋な絵に高レベルな彩色で、 なんとも売れそうなものになっています。 ポーズもちゃんとキャラの個性を表すものになっていますし、 背景もきれいです。 というわけで高レベルです。 それだけに印象に残りにくい気がしますが、それはきっと私だけでしょう。 高レベルであることはいいことです。けなしちゃいけませんよね。
曲の印象はまったくありません。 並すぎて毒にも薬にもならないのです。 まあ、毒にならない分マシでしょう。
声に関しても不満はありませんが、ほめたたえる気にもなりません。 特に下手でもうまくもないでしょう。ま、こんなもんなんでしょうね。 エロゲの声なんてのは。
「そりゃあ売れるわ、こりゃ」ってな感じのゲームでした。 でも私はどうでもいいです。絵偏重の評価をする人なら買いでしょう。 シナリオも音楽も悪くはないのですが、特に優れているわけでも なく、全く「薄い」ゲームでした。