食い物日記

2000年2月29日

麦が尽きた。黒豆が尽きた。 というわけで、今日のメシは玄米3合、黒豆1合、大正金時1合、麦1合 の4種混合メシだ。次は大正金時が尽きるのだろう。 煮豆にするとボソボソする大正金時も、 メシに入れるとけっこうおいしい。 しかし、高いのでもう買うこともあるまい。 やはり豆といえば大豆である。

メシを炊くのに失敗することが多い。 たいがいの失敗は水が多すぎるというものだ。 いままで火を強めるという方法で改善をはかってきたのだが、 焦げたりしてどうにもうまくいかなかった。 しかし、よく考えてみればこの鍋は他のものにくらべて水分が飛びにくい。 一般的な水加減が 水分が飛ぶ量を考慮してのものだとすれば多すぎてあたりまえだ。 いら火を強めてもどうせ100度以上には上がらないのだから、 煮える度合には影響しない。つまりガスの無駄である。 ということは水を減らせばいいだけのことだ。 今まで「玄米1に水1.5」という原則にとらわれすぎていた。 時間は40分で間違っていないようなので、 40分でちょうどよくなるまで水の量を調節してゆこう。 玄米が1.5というのが「玄米は時間が長くかかるからその分多く蒸発する」 ということの表れだとするならば、水が蒸発しないという条件下では 白米とそう水を吸う量が変わるわけもない。 この鍋をもってすれば、玄米も40分で炊ける上に水はほとんど逃げないので、 単純に重量比でいける気がする。 白米一合が140から150g、玄米だと180gだから、 1.2から1.3倍前後。つまり、玄米一合について水1.3合程度で十分いけそうなのだ。 ためしたい。

というわけで、1.25で炊いてみる。 今度は大豆2合に玄米4合のシンプルな構成。 大正金時を水に漬けるつもりだったのに間違って大豆を漬けてしまったためだ。 炊き方は簡単。強火で沸騰させ、あとは吹かない限界の弱火を見極めて そのまま40分置くだけ。さあどうなるか。

イマイチ。まだ少々ベトついている。 だが、これ以上水を少なくしてもいいとは思えない。 何か炊け具合がイマイチなのだ。 とすると、火力か。鍋を保温できないほど弱すぎたかもしれない。 底がちょっと焦げつきつつあるくらいが理想なのだ。

2000年2月25日

金はないのにとある無駄使いをしてしまったので、 ますます食い物には金を使ってはならないのである。 さて、今日は清水んちでレトルトカレーを食った。 タダより安いものはない。 そのかわり夜はうちで米麦豆メシを炊いてもってゆくのであるが、 まあ今あるものは問題にすまい。 だいたいコストもカスみたいなものだ。 オレの主食であるだけに。 ちなみに今日のメシは小豆と黒豆の混合メシである。 というのも途中で小豆が尽きたためで、大したことでもない。 また、炊き方も前までと変えている。 まず沸騰させるまでは同じだが、その後10分だけ強火を継続してから 弱火にして20分待ち、火をとめてからさらに10分待つことにした。 これで伝統的な炊き方に近くなるはずだが、果たしてどうでるか。

2000年2月23日

金がない。 そして金がないと思うと、腹が減らなくなるから不思議だ。 今うちにあるものは、

大麦、玄米、豆は基幹食料である。 こいつらは1:1:1で炊いて主食とする。 とりあえずは小豆を使いはたし、次に大正金時、黒豆と消費して 大豆だけになる。大豆が一番使い勝手のいい豆なので、 これを今後は補充してゆく。 また、大豆は常に発芽させるように置いておき、 メシに入れる豆はそこからとれば甘味も増していて栄養も増す。 発芽しきったら蒸して食えばいい。 また、気がむいた時にはこんぶダシに醤油と酒を足して 炊きこみごはんにする。これならおかずもいらない。 ダシをとったこんぶは煮物にすれば長くもつしおいしいし、 他でとれない栄養もとれる。 おかずもしばらくは鮭がある。 また、粉類はパンにする。 トマト、たまねぎでトマトソースを作り、 塗って食べる。じゃがいもはサラダにして保存すればしばらく食える。 ビタミン不足は金針菜をダールに入れて補う。 ダシも出るしおいしい。 これで当分もつだろう。 先月から今月にかけての外食の嵐で、 十分に外食はうまくないということを知ったのだし、 たぶんもつだろう。

オレはケチだ。 親に十分に金をもらっている期間が長すぎて忘れていたが、 本来はかなりケチなのである。 小学生や中学生の時には100円の差のために10km先の 電器屋まで行ってゲームを買うなんてのは日常茶飯事だったし、 電車賃をケチってバイオリンは自転車で通っていた (稲毛海岸から千葉港までは一駅にもかかわらず10km以上ある)。 遠出してどんなにのどが乾いても缶ジュースなど飲みはしなかった。 堕落しているのは近頃2、3年の話である。 それだけに自分で金をかせぐようになったら、 仮に仕送りがゼロになっていなかったとしても相当ケチった生活をするだろう。 さて、衣食住のうち衣は限りなくゼロに近いし住は固定されている。 電話、電気、ガスなどはケチるにはケチるが限度がある。 また、娯楽費はよほどのことがない限りゼロにするだろう。 つまり削りやすくて、かつ削り方が問題になるのは唯一食費なのだ。 そうなった時に常備される食料は理想的には、 玄米、大麦、小粒大豆、金針菜、ダール豆、 小麦全粒粉、ライ麦全粒粉、とうもろこし粉、こんぶ、 塩、醤油、スパイス類、干しぶどう、ちりめんじゃこ、といったところになる。 月単位での保存の効かないもの、または高いものは完全に消滅する。 不安なのは野菜がないことだが、 これは大豆を長めに発芽させることで栄養タイプが野菜になるので問題ない。 また油と砂糖の使用量もゼロになる。 健康以外の何物でもない食生活だ。 オレがそれに耐えられるかはかなり見物であるが。

2000年2月22日

一晩水につけた黒豆をメシに混ぜて炊いた。 おいしい豆ごはんだ。色も赤い。発芽させてからならもっとうまいのだが、 それを待っているのもしんどいのでこれでいいだろう。 大豆、大麦、玄米を1:1:1で食べていれば、 それだけでもかなり栄養が足りているはずなのだ。

2000年2月19日

麦飯チャーハン。いい出来だ。 大麦と玄米を一対一で炊いて、 これをチャーハンにしただけだ。 具はネギと卵のみ。調味料は 塩、こしょう、唐辛子、かきソース。 油はキャノーラ油をつかった。 麦の食感がいいし、米の甘味がいい。 唐辛子をもう少し増やして風味を増し、 かきソースを少し減らして塩を増やせば ほぼ完璧だろう。 あとはどこまで高速化できるかに 味の全てがかかっている。 速さはうまさ、だ。 次にやる時には豆麦飯チャーハンに挑戦してみよう。 それだけで栄養のバランスがけっこう保たれる。 もっともチャーハンという料理そのものが けっこう無駄に栄養を壊す料理ではあるのだが、 それくらいはいいじゃないか。たまには、だが。

金がないのだ。 かなりないのだ。 ただでも金を使う月だった上に、 いろいろと金を分散して使いすぎた。 もう、やめる。オレは所詮豆と米と麦で生きていれば 幸せな人間なのだ。おもえば今月はいろいろと外食をしたが、 どれも感動するほどおいしくはなかった。 菓子パンも、カップラーメンもことごとく後悔したのだ。 もう後悔するのはやめにしないか。 豆でいいじゃないか。豆で。 これから恒久的にさらに忙がしくなるが、 それでもちゃんとまともな食生活を維持していけるように システムを構築せねばなるまい。 米、麦、豆。米、麦、豆。

2000年2月10日

押麦抹消計画。 残った6合を100%麦で炊く。 プニプニしておもしろいのは昨日書いた通りだが、 なかなか噛めず、結局丸いまま飲みこんでしまうのが難点か。 明日の便が楽しみだ。

2000年2月9日

余ってる押麦がジャマなので 麦100%で炊いてみる。 プニプニしておもしろい。 20分で炊けるので 早くていい。 しかしこれで、押麦と玄米を混ぜて 炊くのが間違いであることがはっきりした。 時間が違いすぎる。 裸麦でも試してみよう。 あっちはたぶん大丈夫だと思うが。

2000年2月8日

新しいほしぶどうを買ってきた。 古いのが比べてハデにくさい。 もうたえられないので、捨てた。

2000年2月4日

ほしいものといえば、おひつと出刃包丁と鍋である。 おひつは炊いたメシを入れる容器だが、 これにいれておくと適度に水分が吸われてゆくので 冷えてもおいしい。一升クラスのものは1万以上するのだが、 是非手に入れたい代物である。5合程度のものは7000円程度で 安めではあるのだが、5合ではイベントの時にメシを運ぶには足りないのだ。 そして出刃包丁。分厚く切れ味のいい一生ものの包丁が是非ほしい。 魚を切るにはやはり分厚いものがいいのだ。 そして鍋。熱伝導が良く、密封性の高く、かつ十分な容量のある底の平なものがいい。 ビタクラフトが最良だが、もう一つ同じものを買うのはかなりしんどい。 といっても、下手に性能の低い鍋を買って後悔するのもイヤだ。 どうしたものか。

こげにくい鍋の話をする時に 熱伝導率がよく問題になるが、 これが良い方がいいのは横方向の伝導率であって縦方向ではない。 つまり、コンロの火の熱が一箇所にかたまらず できるだけ早く鍋全体に伝わってい温度が均一になることが必要なのだ。 そうすると一箇所だけが過熱してこげることがない。 また、側面からも加熱できて効率がいい。 まず熱伝導率の高い金属を使うという方法がある。 銅を使うのがその代表例だ。アルミもかなり近いものがある。 しかし、縦方向の伝導率もあがるので結局早く鍋の内側が過熱してしまって さほどの効果はないし、熱伝導率がいいということはすなわち 保温性が悪いということになる。 逆に、熱伝導率を下げることによって 縦方向に熱が伝わるのを遅くする方法もあるが、 当然横方向も遅くなるのでやはりこげるし、鍋全体があたたまるのには時間がかかる。 土鍋がいい例で、保温性が高いので長時間ジワジワ加熱する用途に向く。 結局、縦方向の熱伝導率だけ下げればいいことになる。 つまり、鍋を多層にして、間に熱伝導の悪いものをはさめばいいのだ。 そうすればまず鍋全域があたたまり、それから内部に熱が通ることになる。 保温性も高くなる。しかし、そうした鍋は高いのだ。

そこで、同じ効果をちょっとした工夫で狙ってみる。 鍋と火の間に何かをはさんでみるのだ。 オレはセラミックのついた金網を敷いている。 理科の実験で使う石綿金網と似たようなもので、 直火からブロックできる。 これでだいぶ焦げなくなることは確かだ。 カレーを作る時などにこげて困る時はためしてみるといい。 多少はまぜるのをサボってもこげなくてすむ。 もっとも、ビタクラフトの性能の前ではかなり見劣りはするのだが。

2000年2月3日

南下する途中、本格インドをうたうカレー屋があった。 前にいっぺいが言っていた店の名前のような気もする。 というわけで、入ってシーフードカレーを頼んでみた。 結論から言うと、ここのカレーはおいしい。 酸味、甘味などのバランスや深みはかなりのレベルだし、 何よりもスパイスの香りがすばらしい。 ちゃんとスパイスを調合していなければこの香りはでないだろう。 是非スパイス調合のテクニックも学びたいものだ。

酒をふるまってしまって尽きたので、 補充しに行った。 いつものところに行くのもつまらないので、 話に聞いているリカーマウンテンという店に行ってみることにした。 白川をずっと北に行くと東側にある店である。 とにかくデカい店で、たいがいの種類の酒はおいてあるし、 日本酒やワインも品揃えがいい。若干安いのもウリだろう。 また、ビールはそこ独自のものを置いてあったりもする。 というわけで、前に聞いた「長浜ビール」と、 山廃純米である天狗舞を仕入れて帰った。 後者は試験的なものなので、4合瓶である。 それで1330円もする。 大して酒好きでもないのに、オレは何をやっているのだろう。

ところで、 山廃とは、山卸という工程を廃したものという意味である。 山卸というのは昔はえんえんとやっていた工程なのだが 科学の進歩によってやらなくてもいいことがわかって やらなくなった工程らしい。 なぜ山卸をしないのが高級かというと、 たいがいの酒は山卸を廃止するどころのさわぎでなく 工程を単純化しているからだ。 山廃というのは、山卸を省略した程度しか工程を単純化していない、 という意味といえる。 さて、それはどういうところか。

酒というのは作るにあたって、菌を増植させる工程がある。 ところが、菌をふやそうとすれば、当然他のいらない菌も増える。 それを防ぐためには都合のいい菌だけが育てるような環境を 整えてやらねばならない。 そのために乳酸が必要になる。 昔はそのために前もって乳酸菌を増やして乳酸を作らせるという工程をふんでいた。 失敗率も高ければ時間もかかる。 ところが、近頃は乳酸を直接ブチこんでいるので、 このへんで手間が大部省略されるわけである。 山廃のものはその面倒な方の工程をふんでいるので高いわけだ。 そのかわり、乳酸菌をふやす過程でアミノ酸がだいぶ出るため、 味の濃厚な酒ができる。

で、味見してみたところ、おいしい。 かなりうまみが強い。かなり好みっぽい。 山廃とつくものがみなうまみの強い傾向があるとすれば、 それはかなりの指標となる。 あとは甘味と酸味のバランスが好みなものがみつかれば万事OKなのだ。

本当にオレは何をやっているのだろう。逃避か?

臭いレーズンを湯通ししてみる。 湯をわかして数秒だけ入れてみるのだ。 その結果、大部臭いがとれた。 水をすってやわくなったり、甘味が強くなったりしている程度で ほとんど味は抜けていない。成功といっていいだろう。 ちなみに流したお湯はとんでもなく臭かったので、 改めてヤバかったことを実感した。

カレーといえばタマネギだ。 だが、カレーといえばスパイスである。 うちには粉にしてしまったものしかないので、 どうしても香味が弱い。 やはりどうしてもまだ挽いていないものが必要だ。 しかし、種類が多くてどうしていいかわからない。 どうしたものだろう。

たまねぎを買いに出た時におとなりさんに会ったので、 いっしょにカレーを食うことにする。 白米、ひさしぶり。今日のカレーはトマトのおかげでかなりおいしくできた。 できたてでこれなので、一日おけばかなりおいしくなるだろう。 あとはスパイスの香りを極めたい。

長浜エールの味見。 ゴツイ。苦味や香りがものすごく強い。 もともとビールってのはこういうものなのだろうという気はするが、 ちとオレにはきついようだ。日本酒でいい。

バカなことにせっかくかせいだ金が消えてゆく。 なぜだろう。


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